榊 由季子さん
社会福祉法人友伸福祉会 小規模多機能型居宅介護事業所 ほくと・ぬくもり

30代後半で訪れた介護職との出会い

　私が介護職に就いたのは、30代半ばになってからです。当時、家庭の事情で仕事に就かなければならなくなり、一人娘を育てていくためには、ある程度の収入が見込めて将来性があり、社会保険にも加入できる仕事がいいなと考えて職探しをするなかで出てきたのが、介護施設という選択肢でした。姉が看護師をしていて夜勤の有る生活をイメージできたこと、当時は資格を持っていなくてもすぐに採用してもらえたことも、この選択を後押ししてくれました。
　最初に就職した施設で、認知症の方への対応も含めて幅広く介護を経験させていただき、おむつ替え、入浴介助、食事お世話など、いろいろなスキルを実践的に身に着けることができました。職場の人間関係にも恵まれ、嫌がらずなんでも教えてもらえましたね。そうしたなかで、日々の仕事にやりがいを見出せたことが、今につながっているように思います。

資格を取得しつつ、介護のキャリアを積む日々

　その後、現在勤務する「社会福祉法人友伸福祉会　小規模多機能型居宅介護事業所　ほくと・ぬくもり」が自宅近くに開設されるのを機に転職し、14年半になります。
　この間、たくさんの利用者さんの介護をさせて頂いてきました。介護者の気持ちが落ち着いていないと、利用者さんを不安にしてしまったり、場合によってはちょっとした事故にもつながりかねません。なので、嫌なことや気がかりなことがあっても、職場では気持ちを切り替えて仕事に臨むよういつも心掛けてきました。もちろん、人間相手の仕事なので難しさもあります。日によって利用者さんの健康状態も心模様も違うので、ときには良かれと思ってやったことが利用者さんの機嫌を損ねてしまうこともあれば、利用者さんの態度や言葉に嫌な気持ちを抱くこともあります。ただ、利用者さんは普段から何かにつけて感謝の言葉を下さることが多く、そういった場合でも最後には、「悪いね」、「ありがとう」と言って下さるので、溜飲が下がるというか、よかったなと思うことができます。
　また、自分自身のために年に一度は集中して勉強する期間を作ろうと決め、自分磨きの一環として介護福祉士や介護支援専門員といった資格も取得してきました。資格を取得することで職域が広がり、できることも増えています。

良い介護は、利用者さんやご家族の方々との信頼関係あってこそ

　現在は、利用者さんに直接かかわる仕事に加え、介護計画の策定や提案といったケアマネージャーとしての業務や、所長として管理業務にも携わっています。
　最近、意に沿う事業所が見つからず何か所も転々とされていた利用者さんが、私の説明に納得し安定してご利用くださるようになりました。その方にとって居心地の良い場所を提供できているのだなと安堵しています。また、ご親族が県外におられる独居の利用者さんからは、何か困ったことがあると時間や曜日に関わらず連絡を頂いています。先日も夜遅くに電話があり「水が出ない」おっしゃるので、ご親族に連絡をして対応しました。ご親族の方から「電話をしたらいなかった」と連絡が来て、探しに行ったこともあります。こういったことは、24時間365日対応の小規模多機能型居宅介護事業所だからこそできるサポートです。大変なこともありますが、最大限サービスを使っていただけるのは嬉しいですね。

スキルを磨き、ご本人の意思に沿った介護を実践していきたい

　今回は優良職員表彰を頂き、とてもありがたく思っています。これを励みに、これからも、ご家族の意向も踏まえつつも、できるだけご本人の意思に沿った介護ができたらいいなと思っています。特に、利用者さんにとって一番の楽しみは食べる事なので、今も、誕生日会などやっていますが、例えば自分達で作って食べるなんてことも取り入れていけたらいいですよね。
　また、多くの方に小規模多機能型居宅介護事業所を知ってもらい、小規模多機能型居宅介護事業所ならではのメリットを活かした使い方をしてもらいたいとも思ってもいます。そのためにも、私自身がもっと勉強し、機会があれば他の事業所さんへの視察なども行いながら、スキルを磨いていけたらと思っています。

社会福祉法人友伸福祉会 小規模多機能型居宅介護事業所 ほくと・ぬくもり

所在地
〒408-0112 山梨県北杜市須玉町若神子2120-1

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