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失敗ができるって面白い

渡辺沙羅さん|Uターン移住者

虫や野草が大好きで、豊かな自然の中でヒトもその中の一員として暮らし、物づくりをしていきたいという思いを抱いていた渡辺さん。
”自然の生態系に手伝ってもらいながら、自分で食べるものを自分で作ることが、一番の幸せ”と話す。北杜市で「虫草農園」という自給的農園を運営している。
 

parkUターン移住したきっかけを教えてください。

私が4歳の時に両親と祖父母と北杜市に移住してきました。中高は県外の学校に進学し、寮生活を送っていました。北杜市から外に出たことにより、北杜市の良さを改めて感じました。
高校卒業の年に、東日本大震災と原発事故があったことが、自分の生き方を考える大きなきっかけとなりました。今の生活が出来なくなることへの恐怖を感じて、「自分が食べるものは自分で作りたい!」「自分が使うエネルギーは自分で作りたい!」という思いが強くなり、高校卒業後にこちらに戻ってきました。

park普段どんな暮らしやお仕事をしていますか?

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自給的な暮らしをしたいと思っているので、一年を通して食べるものをなるべく自分で作りたいと思っています。
畑を耕す時は天ぷら廃油で動くトラクターを使い、出荷の時は車庫の屋根に付けた太陽光パネルで電動軽トラを充電して使っています。冬の暖房も薪ストーブを使うことで、化石燃料もお金もあまり使わずに暮らせています。
自分が食べるもの以上に収穫できた時に、作物や加工品を道の駅で販売し、暮らしに必要なお金をいただいています。

park北杜市の「食」について教えてください

いっぱいあるんですが、一番は水でしょうか。
水が美味しいと炊いたお米もお茶も美味しくて、すべての料理が美味しくなるような気がしています。
もうひとつは、採れたてであること!
生産者が身近にいるので、ものすごく新鮮で美味しいものが、手軽に手に入るのも、贅沢な環境だと思います。何が美味しいかと聞かれると選べないくらい、美味しいものに溢れています。
 

park農業をしていて困ったことはありますか?

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畑や田んぼをやっているとそれなりに失敗をします。
今はインターネットが普及して、いろんな情報に溢れていて、いろんな栽培方法が見つかります。
しかし、知識として知ってはいるけれど、実際にやって失敗できる経験というのは案外少なくて、『自分で考えてやってみる、そして失敗してさらに考える』という工程を体験できることがありがたいことだと思っています。
それから、困ったときに、「困ったっ!教えてっ!」って誰かに助けを求められるのは、この地域の良いところだとも思っています。

park地域に馴染むためのアドバイスはありますか?

失敗すること。
休耕田をお借りして再生をしていたときの話なんですが、田んぼって水を張るので、水平でないといけないんです。
水平を出すために、四隅をスコップで直していたら、軽トラとかトラクターとか通りがかりのいろんな方が停まってくれて、「それはねぇ、トラクターでやるといいよ」とか、「ロータリーに丸太を括り付けてやるといいよ」とか、たくさんアドバイスをいただいたんです。
失敗をしている最中でも地域のみんながその行動を見守っていてくれているのだと思いました。失敗することは恥ずかしいことのように捉えがちですが、意外とそこから人のつながりが生まれるものなんだなと感じました。

park北杜市に来たらこれをやって欲しい!というものはありますか?

ぜひ自分で食べものを育ててみて欲しいです。
作物ひとつ見ても寄ってくる虫も違うし、その年ごとに状況も変わってきます。
この辺りは寒冷地なので、甘柿を育てても渋柿が実るという地域だったんですが、温暖化の影響もあってなのか、最近は甘柿が実るようになってきたんです。
嬉しいことではあるのですが、逆に温暖化で、それに対応できない生きものも出てきたり、環境の変化に気が付きやすいです。
生きものを育てることはとても面白いし、自然の生態系の素晴らしさを知ることにもつながります。
楽しいと思える範囲で、ちょっとした庭先から始めてみるのもいいと思います。
他の人がどう感じるかはわからないですが、たとえ虫食いがあったとしても、自然の生態系の一員として自分で作った作物は、特別に美味しく感じられます。ぜひその感触や感覚を味わってみて欲しいです。
 

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