お母さんと赤ちゃんの
健やかな毎日のための10のポイント
妊娠期及び授乳期は、お母さんの健康と赤ちゃんの健やかな発育にとって大切な時期です。
「妊産婦のための食生活指針」では、この時期に望ましい食生活を実践するための指針が示されています。
妊娠前からしっかりと食事をとることを意識しましょう。
妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 (PDF 1.52MB)
1.妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう
若い女性では「やせ」の割合が高く、エネルギーや栄養素の摂取不足が心配されます。主食・主菜・副菜を組み合わせた食事がバランスのよい食事の目安となります。1日2回以上、主食・主菜・副菜の3つをそろえてしっかり食べられるよう、妊娠前から自分の食生活を見直し、健康なからだづくりを意識してみましょう。
※バランスのよい食事とは・・・
1食分のバランスのよい食事の目安として、主食・主菜・副菜の揃った食事があります。1日に主食、主菜、副菜の揃った食事が2食以上の場合、それ未満と比べて、栄養素摂取量が適正となることが報告されています。
2.「主食」を中心にエネルギーをしっかりと
主食は、ごはん、パン、麺など、炭水化物を多く含み、エネルギーのもととなる料理のことを言います。妊娠中、授乳中には必要なエネルギーも増加するため、エネルギーをしっかりと摂取するために炭水化物を中心に食事を摂取することが必要です。一度にたくさんの主食を摂取することが難しかったり、3回の食事で十分に主食を摂取できない場合は、間食におにぎりを摂取するなど、食事バランスガイドなどを参考に、主食からのエネルギーをしっかり摂取できるよう心がけましょう。
3.不足しがちなビタミン、ミネラルを「副菜」でたっぷりと
主にビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源となる野菜、いも、豆類、きのこ、海藻などの料理が「副菜」です。日本人女性で摂取量が不足しがちなビタミン・ミネラルには葉酸と鉄が挙げられます。葉酸は胎児の先天異常である神経管閉鎖障害の予防のため、妊娠前から充分に摂取していることが大切です。鉄は酸素の運搬に必須のミネラルで、妊娠期には胎児の成長やさい帯・胎盤中への鉄貯蔵、循環血液量の増加などに伴い、需要が増加するため、妊娠前よりさらに多くの鉄摂取が必要です。食生活はすぐに変えられるものではありません。妊娠前から、野菜をたっぷり使った副菜でビタミン・ミネラルを摂る習慣を身につけましょう。
4.「主菜」を組み合わせてたんぱく質を十分に
たんぱく質は、からだを構成する必要不可欠な栄養素です。主菜は、魚や肉、卵、大豆製品などを使った、食事の中心となるおかずの料理で、たんぱく質や脂質を多く含みます。特定の食材に偏らず、多様な主菜を組み合わせて、たんぱく質を十分に摂取するよう心がけましょう。
5.乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを十分に
日本人女性のカルシウム摂取量は平均的に少なく、十分に摂取できていない状況が長年続いています。妊娠・出産・育児に適したからだをつくるために、妊娠前からの積極的なカルシウム摂取を心がけましょう。乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などからもカルシウムを摂取することができますので、様々な食品を組み合わせ、カルシウムの摂取量を増やすよう努めましょう。
6.妊娠中の体重増加量は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に
体重増加は正常な妊娠経過でみられる現象です。適正な体重増加は、お母さんと赤ちゃんの長期的な健康の維持・増進につながります。体重増加が不足すると、早産や赤ちゃんが在胎週数に比べて小さいSGAのリスクが高まります。逆に、体重増加が過剰だと赤ちゃんが巨大児(出生体重が4,000gを超える場合)や在胎週数に比べて大きいLGAのリスクが高まります。
望ましい体重増加量は、お母さんの妊娠前の体格(ボディマスインデックス:BMI)によって異なります。
計算式
BMI=妊娠前の体重( )キログラム÷身長( )m÷身長( )m
(例)身長160cm、体重50kgの人のBMIは?
→ 50kg÷1.6m÷1.6m= 19.5 となります。
妊娠前の体格*2 | 体重増加量指導の目安 | |
低体重(やせ) | 18.5未満 | 12~15キログラム |
普通体重 | 18.5以上25.0未満 | 10~13キログラム |
肥満(1度) | 25.0以上30.0未満 | 7~10キログラム |
肥満(2度以上) | 30.0以上 | 個別対応 (上限5キログラムまでが目安) |
*1 「増加量を厳格に指導する根拠は必ずしも十分ではないと認識し,個人差を考慮したゆるやかな指導を心がける.」 産婦人科診療ガイドライン産科編 2020 CQ 010 より
*2 日本肥満学会の肥満度分類に準じた。
7.母乳育児も、バランスのよい食生活のなかで
母乳育児のために特別に摂取すべきものはありません。必要な栄養素を摂取できるように、バランスよく、しっかり食事をとりましょう。
8.無理なくからだを動かしましょう
妊娠中に運動を始める場合は、医師や医療機関に相談の上、自身の体調に合わせて、無理なく実践してみましょう。
9.たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう
喫煙や飲酒が胎児へ与える悪影響は大きいため、妊娠中は禁煙・禁酒が原則です。また、アルコールは母乳にも移行し、乳児の発達に影響を与えます。妊婦・授乳婦だけでなく、周囲の人も自覚を持って禁煙・禁酒に協力しましょう。禁酒や禁煙がうまく行かないときは、専門の医療機関を受診してみましょう。
10.お母さんと赤ちゃんのからだと心のゆとりは、周囲のあたたかいサポートから
お母さんと赤ちゃんのからだと心のゆとりは、家族や地域の方など周りの人々の助けや支えから生まれます。周囲の人は、お母さんの不安をやわらげ、母子ともに健やかな生活を送ることができるよう、協力しましょう。