官民連携による太陽光発電所の動物相調査結果について

官民連携による太陽光発電所の動物相調査結果を公表します。

  1. クリーンエナジー清里の杜太陽光発電所について
  2. 生態系の保全について
  3. 動物相調査について
  4. 現地確認について

1.クリーンエナジー清里の杜太陽光発電所について

クリーンエナジー清里の杜太陽光発電所は、山梨県北杜市高根町清里地内に所在する出力10MW(メガワット)のメガソーラー施設です。北杜市と合同会社クリーンエナジー清里の杜との官民連携による太陽光発電事業として、牧場の跡地を活用し2015年12月より稼働を始めました。

太陽光発電所

2.生態系の保全について

クリーンエナジー清里の杜太陽光発電所は、山梨県環境影響評価条例において「第三分類事業」(面積15~25ヘクタール。※当時の基準)にあたることから、環境影響評価(環境アセスメント)を実施するかどうかについて判定(スクリーニング)が行われました。その結果、環境影響評価は不要と判定されましたが、事業実施前に生態系の調査を行いながら、その結果を踏まえて環境への影響を低減するための配慮事項が付されました。
これを受け、2014年4月~12月に動植物の現地調査を実施し、環境保全措置を行っています。
また、北杜市では施設稼働後も一般社団法人山梨県環境管理協会にモニタリング調査を委託し、観察を続けています。さらに、調査結果や地元からの要望に基づいて、改善点の検討や発電事業者による環境保全措置への支援を実施しています。

 

位置図.jpg

2-1.残置森林

事業地の北側と南側に残置森林を保全しました。事業地に対する残置森林の面積の比率は、森林法では25%以上、山梨県恩賜県有財産管理条例では35%以上が定められていますが、クリーンエナジー清里の杜では、これらを上回る39.8%(約9.2ヘクタール)を保全しています。

残置森林では、事業実施前から継続的にヤマネ、ニホンリス、サンショウクイなどの森林性の動物が確認されています。また、工事を期に姿を消したフクロウも徐々に確認頻度が増え、2019年には残置森林内に架設した巣箱で2羽の幼鳥が巣立ちました。

2-2.沢の保全

事業地には、少量ながら安定的に流れ出る複数の湧水が存在することから、可能なかぎり湧水口を保全するとともに、自然形状の沢に流れを集め、水生生物や水辺を利用する生物の生息地を保全しています。

事業地内の沢では、事業実施前から継続的にサワガニ、クロマダラカゲロウ、オニヤンマ、ノギカワゲラ、オオヤマカワゲラ、シロフツヤトビケラ、ムラサキトビケラなどの水生生物が確認されています。また、冬季にはヤマアカガエルが沢に集まり越冬しています。

2-3.杜の小道

北側と南側の残置森林の連続性を確保するために、事業地内を横断する動物用の通路「杜の小道」を2か所に設置しました。このうち、下部の「杜の小道」は、大型の動物が利用できるように幅4mとし、レンゲツツジ、ハクサンシャクナゲ、ツルウメモドキなどを植栽しました。また、上部の「杜の小道」は、より小型の動物の利用を期待し、網トンネル形式として、人工池「杜の遊び場」に連絡するように設置しました。

下部「杜の小道」では、ツキノワグマ、ニホンジカ、イノシシの大型獣のほか、アカギツネ、タヌキ、ニホンテン、ハクビシンの利用が確認されています。

2-4.杜の遊び場

「杜の小道」から連絡するように、湧水を利用した人工池「杜の遊び場」を設置しました。

「杜の遊び場」には、アカギツネ、タヌキ、ニホンイタチ、ニホンテン、ニホンアナグマ、ハクビシンなど多くの中型獣が訪れています。また、ハシボソガラス、ホオジロなどの鳥類も水浴びに利用するほか、ヤマアカガエルの産卵、ミズカマキリ、マツモムシ、ミズスマシなどの水生昆虫も確認されています。

2-5.移植・植栽・緑化

事前の調査で確認された貴重植物種(クリンソウ、オニゼンマイ)は、南側の残置森林内に移植しました。また、事業地内はできるだけ元の地形を生かして植生を保全するとともに、改変した場所には、牧場跡地であったことを考慮して牧草の種子を撒きました。草刈りも人の手により行っています。

移植したクリンソウは好調に活着し、保全した沢沿いなどでは分布を拡大しています。また、ヒメシジミなど、草原の環境における貴重昆虫種も高い密度で発生しています。さらに、工事後しばらく姿を消していたキバネツノトンボ、ギンイチモンジセセリなども再確認され、徐々に環境が回復しつつあることがうかがわれます。

3.動物相調査について

クリーンエナジー清里の杜では、事業実施前の2014年に動植物の現地調査を実施し、動植物に対して環境保全措置に取り組んでいます。

また、施設稼働後にも、動物を対象に、自主的に事後モニタリング調査を実施し、環境保全措置の検証や改善点の検討を進めています。

動物相分析調査【北杜市】.pdf (PDF 1.32MB)

 

4.現地確認について

2016年度から毎年クリーンエナジー清里の杜太陽光発電事業に係る動物相調査を北杜市が独自で実施しています。

希少動植物だけでなく着目種にも視点を向け、ヒキガエル等小さい生物の調査も実施しており、これらの生物の産卵ができる場所の確保も指標としています。牧草地だったため開発行為において当時緑化を行い、草原性の動植物は回復しつつある状況が確認できます。

 ・現地確認調査の様子はコチラ↓

R5動物相調査の様子 (PDF 1.91MB)

ヒキガエル旧産卵場

  • ヒキガエルは高く跳ねることができないため、段差がある場合は乗り越えることができません。
  • 自分が産まれた場所は覚えているため同じ場所に戻ってくると言われています。

今後の対応・課題

  • 水源は生物の繁殖において必要であるため、現在砂利の上に草が繁茂しています。
  • 水が湧き出ているため砂利で埋めているが、掘削して水が溜まるようにすると、ヒキガエルが産卵場として活用し繁殖することが可能となります。

アニマルパス

  • 低木(サツキ)が植栽され、飛来種子により高木(アカマツ・ハンノキ等)が生育してきています。
  • フェンスの上をテンが移動している状況が確認されています。

今後の対応・課題

  • アニマルパスとして機能しているので、施設を撤去せず設置を継続していくことが大切です。

南残置林草地

  • 当時土砂崩落が発生したが、緑化を実施したことで指標値と変化なく確認ができています。

今後の対応・課題

  • 飛来種子の生育状況を注視していきます。

人工池

  • 現在は取水口及び導水管に土砂等が詰まり、池に水が溜まらない状況になっています。

課題

  • 土砂の撤去。

北残置林

  • 開発はされていません。

小動物用アニマルパス

  • 当時、小動物用に設置されたアニマルパスは、生育する小動物によりネットが噛み切られているが、草等が繁茂し昆虫が好む状況になっています。

課題

  • ネットは噛み切られているが、生物がネットに絡まって被害を受けている状況は見受けられないので、小動物用アニマルパスは撤去せずそのままの状態が好ましいです。

沈砂池

  • 地元から沈砂池の土砂撤去の要望があり実施されています。

課題

気候変動による急激な降雨等により沈砂池は土砂で堆積されるため、現状を確認しながら土砂の撤去が今後も必要と思われます。

 

 

 

 

 

 

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お問い合わせ

市民環境部 環境課

電話:
0551-42-1341
Fax:
0551-42-2335

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