令和6年2月20日、令和6年第1回北杜市議会定例会にて、所信表明をしました。
市長所信
令和6年第1回北杜市議会定例会の開会に当たり、私の市政の運営に対する所信の一端を申し述べますとともに、提出いたしました案件について、その概要を御説明申し上げ、議員各位、並びに市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
- 能登半島地震への市の対応と災害への備え
先月1日、石川県能登地方を中心に最大震度7を計測する大規模な地震が発生しました。
震災によって亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に見舞われ方に改めてお見舞い申し上げます。
地震により、交通網の寸断、断水、停電などが発生し、多数の集落が孤立状態になるなど、能登半島全域にわたる甚大な被害が及ぶ中、市では、石川県七尾市からのトイレトレーラーの派遣要請を請け、先月3日に職員4名とトイレトレーラー及び給水用のタンク車を同市に派遣し、避難所へ設置しました。
現地では、トイレが不足する中、避難者や周辺住民の方々に、大変喜ばれております。
また、先月19日からは、総務省の派遣要請を請け、支援物資の管理業務を行うために、職員2名を派遣し、今月8日からは、理学療法士1名を被災地に派遣したところであります。
さらに、先月25日には、地震により県内で避難生活を送る日本航空高校石川の野球部に市産のお米300キログラムを送りました。
同校は来月甲子園球場で行われます「第96回センバツ高校野球大会」への出場が決まりましたので、北杜のおいしいお米を食べて、元気に晴れの舞台での活躍を期待しております。
今回の地震を受け、改めて平時での防災・減災の実効性のある取組や、インフラの整備や長寿命化がいかに重要であるかを痛感したところであり、来年度当初予算においても、関連予算を計上したところであります。
まず、市内のインフラを始めとする強靭化の取組を強力に進める必要があることから、今回の地震を踏まえた中で、来年度末に終期を迎える「国土強靭化地域計画」の次期計画の策定を進めてまいります。
また、能登半島地震では家屋の倒壊が死因の9割を占めたことを受け、市内の木造住宅の耐震化を促進するため、耐震改修や建て替えの補助限度額を引き上げるとともに、新たに耐震シェルターの設置に対しても補助を行うこととしております。
今回の地震では、道路の損傷などにより、避難や支援物資の搬送が極めて困難になりました。
本市においても、市内外に通じる道路は、市民の命に係わることから、「中部横断自動車道北部区間」の早期整備を求めていくとともに、市道・橋梁の長寿命化や河川の改修、急傾斜地崩壊対策、ため池の耐震改修など、災害に備えた安全・安心なインフラ整備に努めてまいります。
加えて、地域防災力の中核をなす消防団についても、消防団員の処遇改善の大幅な見直しを図り、消防団の魅力と消防団員の活動意欲を高めてまいります。
- 市政の状況
これまでの実績
市長就任から4年目を迎えました。
これまで、「北杜新時代・幸せ実感・チャレンジ北杜」を市政運営の基本として、変化の激しい社会経済に対応しながら、市政の舵取りを行ってまいりました。
コロナ禍で苦しんでおられた市民や事業者の皆様への支援に始まり、新たな時代を見据えた中で、少子化対策を本市の最大の課題と捉えた、「第3次北杜市総合計画」と「新・行政改革大綱」を策定し、「10年後、市民誰もが幸せを実感でき、子どもが賑わう夢叶うまち」を目指し、「子育て支援」、「産業創出」、「行政改革」を政策の柱に据え、他に先んじて、大胆な施策を講じてきたところであります。
「子育て支援」では、「子育てするなら北杜」を掲げ、出会いから結婚、妊娠・出産、子育てまで切れ目のない支援と、併せて、子育て世代の移住定住の促進に力を注いできたところであります。
具体的には、本市で生まれた全ての子どもを対象に、第3子以降には一人当たり総額100万円という全国でもトップクラスの支援となる「子育て応援金」の創設や、仮想空間での出会いの機会の創出、新婚世帯や転入される子育て世帯への補助、奨学金返還の支援、移住支援金の拡充など、多岐にわたる施策を展開してまいりました。
こうした取組により、コロナ禍が明けた昨年も含め、県内の市の中では唯一、4年連続で100人以上の転入超過の結果を残すことができたところであります。
「産業創出」では、地域ブランドの価値の向上を目指し、企業誘致や創業支援、市内におけるテレワーク環境の整備に積極的に取り組んだことなどにより、この4年間で80件を超える企業誘致や創業に結び付けることができました。
産業創出に必要なインフラ整備においては、中部横断自動車道北部区間の早期整備を実現させるため、関係団体等と連携を強化し、国や県に対し要望を行った結果、昨年、国からの詳細なルート案が示されるなど、事業化に向けて更なる一歩を踏み出したところであります。
また、各種産業における高付加価値化を図るため、北杜市産ワインの普及に向けたブランディングや、有機農業を広めるためのオーガニックビレッジの取組、米どころとして品質や技術の向上を目的とした米・食味コンクールの開催を実施するとともに、海外への販路拡大や訪日外国人を本市に誘客するため、台湾、ベトナム、タイ、韓国、米国にトップセールスを行ってまいりました。
さらに、官民連携を促進し、50以上の企業等との連携、民間のノウハウを取り入れる中で、地域資源の磨き上げや課題解決に力を入れてきたところであります。
環境面においても、「ゼロカーボンシティ宣言」を行い、県内の自治体では初となる民間資本による大規模な公共施設への再生可能エネルギー設備設置を進め、本年度からは「GX推進プロジェクト」として、更なるエネルギーの地産地消への取組を加速させております。
「行政改革」においては、歳入の確保の観点から、「ふるさと納税」を強力に進めた結果、就任当初から寄附額は約18倍となり、市が独自に行う各種施策の財政的な基盤を作ることができたところであります。
また、行政サービスにおける効率化と質の向上を図るため、デジタルの実装を進めるためのDX推進計画を策定し、市民の皆様に直接係る窓口業務を中心に、各業務においてデジタル化を進めております。
さらに、公共施設保有量の最適化の方向性についても検討を進めるなど、本市が抱える課題に正面から向き合い、将来世代に負担を残さず、持続可能なまちとなるための取組を行ってきたところであります。
これまでの3年間は、刻一刻と変化する社会環境に適切に対応しながら、本市のあるべき将来像を描き、未来への種をまいてきた3年間でありました。
徐々に実を結んできた実感はありますが、昨年コロナ禍が明け、本格的な社会経済活動が活発化する中において、令和6年が真の意味で北杜市が発展する「元年」だと考えておりますので、市民の皆様、誰もが幸せを実感できる市政に引き続き取り組んでまいる所存であります。
令和6年度当初予算
現在、国を始めとして、経済界、労働界において、「賃金と物価の好循環」の実現を目指した協議が進められており、我が国の経済も新たなステージへの移行が期待されるところであります。
こうした中、令和6年度当初予算編成については、「第3次北杜市総合計画」を成長戦略として、若い力を呼び込み持続可能な地域づくりを進める施策を引き続き強力に展開していくこと、併せて、「新・行政改革大綱」に基づき、限られた財源と人材を有効活用する「選択と集中」、「重点化」を基本とした未来につなぐ強固な行政経営基盤の構築にも全力で取り組んでいくこととして、予算編成を行ったところであります。
市制施行20周年記念事業
本市は、本年11月1日に市制施行20周年の節目を迎えます。
この慶事を市民の皆様と共に祝い、これまで本市の発展に御尽力いただいた全ての方々に感謝するとともに、未来に向けて本市が発展していく飛躍の年となるよう、各種記念事業を実施してまいります。
市制20周年記念式典では、姉妹都市の大韓民国抱川市から交流団を招聘するなど、盛大に開催するほか、20周年記念事業として、これまでの本市の歩みを振り返る記念誌の発行や、特別番組の制作、芸術・文化・スポーツの記念イベントの開催、また、本市で初めて開催する「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」の実施、そして、子どもからお年寄りまで多くの市民が集い「北杜は一つ」の思いを共有するための打ち上げ花火大会を開催してまいります。
そのほか、来年度は、南アルプスユネスコエコパークが登録決定から10年、甲武信ユネスコエコパークについても5年を迎えることから、本市の20周年と合わせて各種催し物を開催してまいります。
こうした事業を通じて、市民の皆様のシビックプライドの醸成を図りながら、本市の新たな未来を皆様と共に築いていくことができるよう、全庁を挙げて、20周年の機運を高めてまいります。
物価高対策
先週から、市民1人当たり5千円の「北杜市くらし応援商品券」の発送が始まりました。
物価やエネルギー価格の高騰が続く中、市民の皆様には、日用品等の購入に御活用いただくとともに、地域経済の下支えとなるよう期待するところであります。
昨年12月、国では、「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」に「給付金・定額減税一体支援枠」を創設し、様々な層の国民に丁寧に対応しながら、物価高に対応し、可処分所得を増やすこととしました。
これを受け、市では、定額減税の恩恵を受けられないと見込まれる所得水準の方を支援するための新たな給付金事業として、住民税均等割のみ課税世帯へ10万円を給付し、低所得者の子育て世帯へ18歳以下の子ども1人に付き、5万円の給付をすることとし、先月26日に関連予算について専決処分を行ったところであります。
対象となる方々に早期に給付金が届くよう、準備を進めるとともに、来年度予定されております、定額減税についても、しっかりと対応してまいります。
一方、本市独自対策では、これまで新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴う経済の低迷や物価高騰等の影響を鑑み、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、短期的に学校給食費や保育園の副食費の無償化を実施してまいりました。
しかしながら、現在、少子化対策は待ったなしの状況であり、「子育てするなら北杜」の旗印の下、更に思い切った子育て施策を講じることが必要となっております。
そのため、市では、来年度から、学校給食費と保育園の副食費の恒常的な無償化を実施することといたしました。
併せて、アレルギー等によりやむを得ず学校給食の提供を受けられない子を持つ保護者への支援も行ってまいります。
こうした取組を通じて、子育て世帯の不安を少しでも払しょくし、「子どもが賑わう夢叶うまち」の実現を目指してまいります。
子育て支援の取組
はじめに、「母子健康手帳アプリ導入事業」についてであります。
スマホ世代に合わせた子育て支援を行うため、新たに「母子健康手帳アプリ」を導入いたします。
アプリは、従来の「母子健康手帳」を補完し、健康診査・予防接種のスケジュール管理が行えるほか、市からは、対象月齢に合わせた子育て情報の配信を行うなど、更なる子育て世代の利便性の向上、情報発信手段の拡大を図ってまいります。
次に、小中学校の新たな取組と施設整備についてであります。
まず、不登校傾向の児童生徒や教室に入ることが困難な児童生徒の「学びの場」や「心の居場所」としての環境を学校内に整えるため、「校内支援教室」、通称「ステップルームひまわり」を設置いたします。
併せて、児童生徒一人ひとりの教育的ニーズの的確な把握と重層的支援を行うための「心理アセスメント推進事業」についても実施することとしております。
また、学校と地域が一体となって特色ある学校づくりの支援を行う「コミュニティ・スクール」については、来年度から甲陵中学校を除く市内全ての小中学校において、活動が本格的に始まることから、その支援を行ってまいります。
一方、小中学校の施設整備については、災害発生時における避難所の環境整備を考慮しつつ、
小中学校の屋内運動場への冷風機の設置などの熱中症対策や、太陽光発電設備の更新、中学校の屋内運動場におけるトイレ・スロープ改修工事やアリーナ照明のLED化を行うとともに、老朽化が進んでいる白州小学校の校舎の大規模改修等を実施してまいります。
福祉の充実に向けた取組
はじめに、新たな健康増進の取組についてであります。
全国における死亡順位では、40歳から89歳まで「がん」による死亡者が1位であり、全医療費の約3割という数字からも「がん対策」が急務であることが明らかであります。
また、生活習慣病の悪化による「がん」もあることから、生活習慣を見直し、定期的な検診による早期発見と早期治療に結び付けることが死亡率を下げる有効な手段であります。
こうした状況を踏まえ、来年度から65歳以上を対象に、生活習慣病の改善を目的とした事業への参加者にポイントを付与し、一定ポイント取得者の「がん検診」を無償化とする「健康づくり増進事業」を実施してまいります。
また、健康診断の受診率が低く、「がん」による死亡率が最も高い40歳から64歳までを対象とした「がん検診」の無償化を令和7年度からの実施に向けて検討を開始し、基本健診の受診率の向上及び「がん」の早期発見・早期治療につなげてまいります。
次に、重層的支援体制整備事業についてであります。
本市では、高齢化率が40パーセントを超え、「8050問題」や、若年層の「ひきこもり」のほか、生活困窮に陥る世帯の支援、高齢者、障がい者、児童など、市の各担当部局や「北杜市社会福祉協議会」等の事業所だけでは対応しきれない、複雑・複合的なケースが増えております。
これらの支援ニーズに対応するため、新たに「重層的支援体制整備事業」として、対象者の属性を問わない包括的な支援体制の構築を図ってまいります。
まずは、関係部局等の検討会を設置し、現状の支援体制の確認と課題等の情報共有、研修などを通じて、意見集約や体制整備を図り、本事業実施に向け、移行準備を行ってまいります。
次に、訪問理美容サービス利用助成事業についてであります。
在宅介護・医療のニーズが高まる中、外出が困難な高齢者への訪問理美容サービスの利用増加が見込まれていることから、来年度から、理容所又は美容所の利用が困難な要介護状態にある高齢者に対し、訪問による理容又は美容のサービス利用に要した費用の一部を助成する制度を創設いたします。
高齢者が住み慣れた地域で、自分らしく安心して暮らすことができるとともに、ご家族の介護負担の軽減を図ってまいります。
次に、地域公共交通についてであります。
現在、「北杜市地域公共交通計画」に基づき、地域の足の確保を図っているところでありますが、「明野・須玉エリア」の支線、いわゆる「エリア内の交通」については、エリアの「地域公共交通運営委員会」において、更なる利便性向上に向けた協議がなされたことから、来年度、一部改善してまいります。
具体的には、明野については、定時定路線を廃止し、予約型のデマンド交通に改編するとともに、須玉については、これまで以上に定時定路線の利点を活かした路線の充実・改善を実施することとしております。
ゼロカーボンシティへの取組
現在、「北杜GX推進プロジェクト」として、市公共施設の電力の脱炭素化のため、施設の屋根等を貸し、民間事業者が太陽光発電事業を行う「PPA事業」による設備導入を進めております。
新たな設備設置に向けて、事業者による現地調査は終了しており、今後、34の施設への設置が行われる予定でありますので、更なるCO2の削減が期待されるところであります。
また、電気料金については、一昨年設置した、本庁舎においては、昨年一年間で約230万円の電気料削減効果があったことから、新たに導入する施設においても、市場価格によっては相応の電気料金の削減が見込めるものと考えております。
本プロジェクトでは、こうしたPPA事業の進展により生み出される電気料金の削減分を市民へ還元することとしております。
現在、エネルギー価格の高騰による電気料の値上げの影響を受ける、特に高齢者世帯においては、電気料節約のために適正な空調設備の使用を控えるなど、健康への悪影響が懸念されることから、高齢者の方が安心して元気に暮らすことができるよう、来年度から新たに75歳以上の高齢者世帯を対象に最大1万2千円の支援金を支給してまいります。
また、多くの市民が移動手段として利用しているガソリン等を燃料とする自動車やバイクから排出されるCO2を削減するため、電気自動車等の普及促進に向け、車両等の購入費に対し最大20万円を限度とする補助制度を創設いたします。
さらに、現行の「再生可能エネルギー設備設置費補助金」においては、今後、余剰電力を売電から自家消費に活用するニーズが高まることが想定されるため、蓄電池購入補助額を拡充することとし、過去に太陽光発電設備設置費補助を受けた方も対象に加えた上で、より大容量の蓄電池購入にインセンティブを与える限度額の増額を行い、家庭における再生可能エネルギー比率の向上と電力の地産地消を支援してまいります。
農林業の振興
まず、農業分野においては、担い手の高齢化などよる労働力不足が深刻な課題となっていることから、先進技術の活用による「スマート農業」の普及促進を図るため、農業用ドローンやリモコン草刈機などのスマート農業機械等の導入を支援する制度を創設いたします。
また、林業分野においては、北杜市産材の魅力発信や市内の林業・森林産業及び住宅産業の活性化を目的に、森林環境譲与税を財源に、生産から利用までのサプライチェーンを作り、活用できる仕組みを構築するための支援制度を創設してまいります。
次に、「世界に誇るワイン産地化推進事業」についてであります。
市では令和3年度からワインの産地化に向けて、市産ワインのテイスティング会や講演会、PR動画による魅力発信、醸造用ぶどう生産農家への支援等の取組を行ってまいりました。
その成果もあり、市内には現在14ものワイナリーが創業するなど、ますますワイン産地として期待されるところであります。
本年度は、市内の個性あふれるワインやワイナリーを紹介し、販路拡大や誘客を促進するため、ぶどうの収穫体験や地元食材の魅力が詰まった食事など、観光及び宿泊を含めた一連の旅行プランを造成したところであります。
来年度は、造成されたプランを旅行会社に提案し、より多くの皆様に市内でワインを楽しんでいただけるよう、ツアーの実施を支援し、ワインツーリズムの推進を図ってまいります。
次に、「食杜北杜」についてであります。
高校生が事業者の皆様と一体となって地域の食材を使い、北杜のイメージにちなんだ商品の開発を行う「食杜北杜」では、来年度、「甲武信ユネスコエコパーク」をテーマとして、豊かな山々や清らかな水、多様な生態系などを高校生の自由な発想で商品にしていただくこととしております。
完成した商品については、各事業者での小売りのほか、市のふるさと納税返礼品となるなど広く販売されます。
また、この取組がきっかけとなり、本市とも深い関わりがあり、台湾で日本の食品等を取り扱う高級スーパー「裕毛屋」を経営する「株式会社裕源」様の全面的な御協力により、来月11日から7日間にわたり北杜高校の生徒10名が台湾の「裕毛屋」で就業体験をさせていただくこととなっております。
次世代を担う高校生が国際的な視野を持ち、世界へチャレンジする貴重な機会となることを期待しております。
観光振興の取組
はじめに、外国人の観光誘客についてであります。
市では、本年度を「インバウンド誘客元年」と位置付け、台湾、ベトナム、タイを対象に、現地旅行会社への営業活動、国際旅行フェアへのブース出展など、積極的な誘客活動を実施してまいりました。
私もトップセールスで、現地において、関係機関等にPRを行ってきたところであります。
本市の知名度は、現時点、低い状況でありましたが、本市のお酒や牛肉などの「食」や、桜などの「花」、富士山を始めとして山々が見渡せる景観、スキー場などのアクティビティなど、外国人向けの観光地として、大いに可能性があると、現地の関係者の方から御意見もいただいたところでありますので、今後も継続したPRや誘客活動が必要だと考えております。
そのような中、先月15日に、「タイ国際協力開発機構」で実施するタイ人ボランティア派遣プログラムにより、アンチャリーポン・パリサウォンさんを観光コーディネーターとして任命いたしました。
約1年にわたる長期派遣は、国内では初めてのことでありますので、この貴重な機会を最大限活用し、タイ王国への本市の観光PRを強力に行ってまいります。
また、今月にはタイにおいて、関係機関への訪問や、現地旅行業者等へのトップセールスを行ったところであります。
早速、観光コーディネーターにも同行していただき、タイ国内でのPR活動に効果を発揮したものと考えております。
来年度についても、重点市場である、台湾、ベトナム、タイを中心に、旅行会社等の更なる関係を構築し、旅行会社等の観光地の視察やSNS等を活用した、インフルエンサーによる紹介など、引き続き積極的なインバウンド誘客を実施してまいります。
また、観光PR事業では、「中部横断自動車道南部区間」の開通による効果を拡大させるため、本年度、静岡県を中心に、イベントへの出展や旅行会社への営業活動、SNSへの広告など、PR活動を実施してまいりました。
ビッグデータから把握する観光客動向では、静岡県からの来訪者が徐々にではありますが増加していることから、来年度は、静岡市内を走る私鉄の駅や鉄道等の広告掲載、SNSでの情報発信など、更なる認知度の向上を図ってまいります。
次に、小海線の観光による活性化についてであります。
先般、JR東日本が公表した管内の赤字路線に小海線が該当し、その額に改めて驚きを持ったところであります。
小海線は、標高1375メートルのJR鉄道最高地点や、星空をモチーフにした観光列車が走るなど、観光利用としての可能性を期待するところであり、沿線も含め潜在的な魅力がまだまだある路線であります。
市としても、JR東日本と協働したイベントの実施やPR活動など、積極的な利用促進を図るとともに、市内外のファンを増やし、地域も一体となる取組を実施してまいります。
シティプロモーション推進事業とふるさと納税の取組
本市は、昨年155人の転入超過となり、引き続き多くの方に移住先として選ばれております。
一方、昨年発表の居住されている方を対象とした調査では、民間報道機関による「住みよさランキング」において全国で31位となり、また、大手不動産会社による「街の幸福度・住み続けたい街ランキング 山梨県版」においても、2位の好評価をいただいたところであります。
これからも、市民や移住を希望される方から、「住み続けたい」、「住んでみたい」と選ばれるまちであり続けるためには、人の流れを創出し、移住定住、関係人口の増加につなげる必要があります。
そこで、新たに市内外の若い世代をターゲットにした市の魅力の発信や、新たな「北杜ファン」を創出するイベントを開催するため、国の交付金を活用した「ポストコロナ期の北杜デジタルファンクラブ創出プロジェクト」に取り組むことといたしました。
一方、「ふるさと納税」においても、先月末時点で、昨年度実績を上回る15億円を超える寄附をいただいたところであり、また、「企業版ふるさと納税」においては、数社から寄附をいただく方向で調整しております。
来年度は、返礼品に魅力を感じている寄附者のニーズに応えるため、これまでのラインナップの価値を高め、市制施行20周年を記念した様々な返礼品を用意するとともに、人気施設で使える宿泊券や食事券、現地で楽しめるアクティビティ体験チケットなど、より一層本市の魅力が伝わる返礼品を増やし、20億円を目標に、予算計上額以上の寄附が得られるよう取り組んでまいります。
国際交流事業
姉妹都市である大韓民国京畿道抱川市との交流事業については、先ほど述べましたように、市制施行20周年記念式典に、ペク・ヨンヒョン抱川市長を始めとする「抱川市文化交流団」を招聘し、「抱川市立民俗芸術団」の皆様に御公演いただく予定であります。
また、同じく姉妹都市であります米国ケンタッキー州マディソン郡・ベリア市・リッチモンド市との交流事業については、令和元年以来となる市在住の中学1、2年生を対象とした「ホームステイ派遣事業」を8月上旬に実施し、10月上旬には、北杜市代表団の派遣を計画しております。
高校生の交流では、甲陵高等学校と「イースタンケンタッキー大学付属モデル・ラボラトリー高校」との交流事業が2年目を迎え、昨年と同様に、本年3月に甲陵高校生がケンタッキー州に赴き、9月にはケンタッキー州からの生徒の受入れを行うこととしております。
今後も、相互に様々なアイデアを出しながら、一層の連携を図り、充実した交流事業にしてまいります。
芸術・文化・スポーツの各種施策
はじめに、図書館の再編についてであります。
市内図書館については、図書館機能の充実により文化価値の向上を図るため、3館の図書館の機能強化を行うとともに、残りの5館については、コミュニティ・コモンズとして、図書館サービスポイントとしての機能を備えるほか、地域住民の情報共有、相互支援、意見交換の場としての活用ができるよう、本年10月の利用開始に向けて、準備を整えてまいります。
次に、スポーツ施設の整備についてであります。
「八ヶ岳スケートセンター」の改修事業は、スケートリンク内側に、東日本では最大規模となるスケートボードが楽しめる施設として、ボウルセクションや可動式セクションの設置を進めるほか、アイススケート初心者や未就学児等が安心して楽しめるフィギュアリンクの整備も行い、本年11月のフルオープンを目指してまいります。
また、現在、スケートセンター施設のネーミングライツの募集を行っており、財源確保に努めるととともに、今後、指定管理者制度の導入についても進めてまいります。
そのほか、県内唯一の施設であります白州体育館のサンドバレーコートについては、現在、多くの方に御利用いただいておりますが、全国大会に使用できる環境を整えるとともに、より多目的に活用できるよう、サンドグラウンドを追加整備し、更なるスポーツ振興や青少年育成に活用してまいります。
DX推進事業
来年度から本格的に行政サービス等のDXを推進するため、まず、市の公式LINEアカウントの機能拡充を行い、各種証明書の申請、施設やイベントの予約や、道路の破損状況等の不具合報告などができるよう整備してまいります。
また、国の「デジタル田園都市国家構想交付金」を活用し、窓口において、マイナンバーカードや運転免許証により、氏名等を申請書に自動反映させる「書かない窓口」のためのシステムを導入し、手続き時間の短縮と窓口業務の効率化に取り組んでまいります。
さらに、大雨等に伴う緊急時の水門開閉の安全性と管理者の負担を軽減するため、朝穂堰の取水口の水門に遠隔で開閉が可能な装置をモデル的に設置し、将来、他の水門への導入に向けて効果検証を行ってまいります。
市制施行20年への思い
繰り返しとなりますが、本年は、市制施行20年の記念の年となります。
先達の方々が大変な御苦労をされ、ようやく北杜市が誕生してから20年が経過します。
この20年間にも、北杜市として自立していくために、さらに多くの方々の御尽力があり、今日に至っております。
また、市民の皆様におかれましても、北杜市という名前に愛着を抱き、市民として誇りを持っていただいております。
改めて皆様に感謝を申し上げます。
20年の節目を皆様とともに盛大に祝い、新しい未来につなげていく、そのような年にできるよう、誠心誠意、市政運営に取り組んでまいります。