耕作目的による農地の権利移動
耕作を目的として農地を権利移動する場合は、農地の売買はもとより賃貸借、使用貸借、贈与の場合でもその農地の所在する市町村の農業委員会の許可等を受ける必要があります。
農地法第3条による権利移動
農地法では、不耕作目的や投機目的等での農地の取得などを禁止し、農業を主な業とする者への効率的な利用に誘導するために、農地の権利移動を規制しています。
耕作目的で農地を売買または貸借する場合、農地法第3条により農業委員会の許可を受ける必要があります。この許可を受けないでした売買(貸借)は効力が生じないとされています。
なお、農業経営基盤強化促進法の農用地利用集積計画および農地中間管理事業に関する法律の農用地利用配分計画による権利の設定、移転を行う場合は、農地法第3条の許可は不要です。
許可の対象
対象となる土地 | 農地、採草放牧地 |
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対象となる権利移動 |
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主な許可基準
農地法第3条による主な許可基準には、次の4つがあります。
取得者またはその世帯員等が、すべての要件を満たしていないと、農地等の権利移動はできません。
主な許可基準 | 許可がみとめられない場合(例) | |
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全部効率要件 | すべての農地(権利を有する農地と許可申請する農地)を効率的に耕作すること | すべての農地を効率的に耕作していない場合
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農作業常時従事要件 | 農地の取得者またはその世帯員等が農作業に常時従事すること(原則、年間150日以上) | 取得者またはその世帯員等の年間耕作日数が150日に満たない場合
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下限面積要件 | 権利取得後、耕作する農地の合計面積が40アール(4,000平方メートル)以上であること | 農業経営面積(所有農地、借入れ農地、取得予定農地の合計面積)が40アールに満たない場合
※農地取得のために一時的に農地を借りることは認められません。 |
地域調和要件 | 周辺地域の農地の集団化、農作業の効率化、農地の効率的・総合的な利用に支障が生じないこと | 周辺地域の農地利用に支障を生じるおそれがあると認められる場合
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※法人で農地を取得するには、農地所有適格法人の要件を満たしている必要があります。
※上記の許可基準は主なものです。申請の際には、農業委員会にご相談ください。
下限面積について
農地法が改正され(平成21年12月15日施行)、地域の平均的な経営規模が小さく地域の実情に合わない場合など、農業委員会の判断で下限面積を引き下げ、別段の面積を定めることができることになりました。
また、農業委員会は、毎年別段の面積の設定又は修正の必要性を検討することとされています。
北杜市の下限面積:40アール(平成29年5月25日開催の総会で決定)
設定の理由:北杜市では経営規模が30~40アールの農家が全体の40%を上回っていることや、農業生産の発展と農地の効率的な利用を図ることから40アールを下限面積としています。
【参考】農地法で定める下限面積
北海道:2ヘクタール
北海道以外の地域:50アール
許可の権限庁
農地が存する農業委員会
許可手続きの流れ
- 申請書の受付:毎月10日締め切り(10日が閉庁日の場合は、翌開庁日)
- 申請内容の審査:書類の確認、現地調査
- 総会の審議:許可、不許可の決定
- 許可書の交付:許可書交付の通知を発送(受領の際は、通知と認印を持参してください)
※農地法第3条許可の事務処理について、北杜市農業委員会では、標準処理期間を28日に定め、迅速な事務処理による行政サービスの向上に努めています。
- 申請書は、北杜市農業委員会事務局(北杜市役所本館窓口14番)および各総合支所地域市民課でお受け取りください。
- 申請についてご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。
様式ダウンロード
00農地法第3条許可申請書類(チェックリスト).doc (DOC 50.5KB)
01-2農地法第3条許可申請書・別添・営農計画書.docx (DOCX 42.7KB)
01-3農地法第3条許可申請書・別添・営農計画書(記載例).docx (DOCX 88KB)
10農業委員チェック(新)_3条.xls (XLS 35KB)
農業経営基盤強化促進法による権利移動
農業経営基盤強化促進法に基づき市町村が行う利用権設定等促進事業により、農地の権利移動を行うことができます。この場合、農地法第3条の許可を要しません。
利用権設定等促進事業
北杜市では、「農業経営基盤の強化の促進に関する基本的な構想」を策定し、農用地に関する集団的な権利の設定、移転を行う計画「農用地利用集積計画」を作成しています。
農地の貸し手と借り手の同意を得て、地番や地目、面積、賃借料や貸借期間等を計画に定めて公告することで、当事者間で契約書を取り交わすことなく、また、農地法第3条の許可を受けることなく、貸借の効果が発生します。
市が計画を公告するには、あらかじめ農業委員会の決定を経る必要があり、農業委員会では利用権設定等の要件を満たしているかを審査します。
利用権設定
主な要件は以下のとおりです。
- 農用地利用集積計画の内容が市が定めた基本構想に適合すること
- 利用権の設定を受ける者が、次のすべてに該当すること
- ア 農地のすべてを効率的に耕作していること
- イ (個人の場合)農作業に常時従事すること
- ウ (法人の場合)農地法の農地所有適格法人の要件を満たしていること
- 関係権利者すべての同意を得ていること
ただし、20年を超えない期間の場合は、共有者の2分の1を超える同意があれば設定可能です。
解除条件付き貸借の利用権設定
上記の2のイ、ウの要件を満たさない場合でも、次の要件を満たせば利用権設定を受けることができます。
- 地域の農業者との適切な役割分担の下に農業経営を行うこと
- (法人の場合)役員または重要な使用人のうち一人以上が耕作の事業に常時従事すること
- 農地を適切に利用していない場合には、貸借を解除する旨の条件が農用地利用集積計画に定められていること
なお、解除条件付きで利用権設定を受けた者は、毎事業年度の終了後3ヶ月以内に市町村長に農地利用の状況について報告することが義務付けられています。
合意解約
農地の賃貸借の解約は、原則的に知事許可が必要となりますが、貸し手と借り手の合意による解約でその農地の引渡しの時期が、解約の合意の成立後6か月以内にある旨が書面において明らかな場合は、合意解約の翌日から30日以内に農業委員会に通知すれば、契約終了の手続きが出来ます。
様式ダウンロード
合意解約18条6項(賃貸借の解除等の通知書).doc (DOC 45KB)